2017.07.17 Monday

アシュケジナージ自由への旅〜80歳の誕生日によせて〜本

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    7月6日に80歳になられた 世界的なピアニストで指揮者のアシュケナージですが

     

    アシュケナージの生まれは当時のソビエト連邦。

    社会主義の国で 才能のあるピアニストは 国が外貨を稼ぐための大事な「道具」でした。

    そのために外国に演奏旅行に行かせたのですが その際は 常に共産党の諜報員がついて彼を見張っています。

     

    1961年にモスクワ音楽院に留学していたアイスランド人と結婚しますが、その家族に対するソ連の扱いなどにも不満があり

    1963年にはロンドンへ亡命、1972年にはアイスランド国籍を所得しています。

     

    そんなアシュケナージですが 自身の伝記のようなものを書くこと、伝えることには興味を持っていなかったようですが

    彼がまだ40代半ばの時に 自分がこれまで過ごした環境について 伝えるべきではないかと思い直したらしく、

    ジャスパー・パロットのアシュケナージの伝記執筆に協力をしています。

    そして 出版されたのがこの本。

     

     

    出版は1984年(日本語版は1985年)

    まだ ドイツも東西に分かれていて、ロシアもまだソ連の時代でした。

     

    実は私は 東西統一直前の東ドイツを訪れたことがあり、当時の東ドイツの生活を垣間見ることができました。

    住んでいたのは西ドイツですが 共産圏に住む、共産圏の国で生活すると言うことが特に芸術家にとって、音楽家にとってどう言うことか、色々な体験話を聞くことができました。

     

    先日のこと、ドイツ在住3年の若い日本人と話していると

    彼は 東ドイツの存在も歴史の教科書の中でしか知らず、共産圏の国がどのような生活をしていた、どれほど不自由だったか、なぜ一部の音楽家は外国に演奏旅行に出られたのか、一般市民はなぜ西側諸国に旅行できなかったのか、

    また東ドイツと西ドイツのマルク(通貨ですね)の違いなど あまりよくわかっていない、と言う事実に驚かされ、

    ベルリンの壁が崩れてから早くも4分の1世紀以上が経っている事実に驚かされました。

    (と同時に自分のドイツ滞在が長くなったことを改めて認識させてくれました)

     

    改めて、共産圏の国々の当時の生活がどのようなものだったか

    アシュケナージが80歳を迎えた今月、久しぶりにこの本を手に取った次第です。

     

    西側の生活は東側のそれに比べて はるかに魅力的であり、東側から来る人は西側の生活にすぐに馴染めるものだろう、と思われがちですが どのような生活であれ、それまでの生活習慣を変えなければならない、と言うのは 大変な努力を必要とするものです。

     

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    2017.07.07 Friday

    アシュケジナージ80歳の誕生日によせて〜CD

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      (少々 遅れてしまいましたが)

      本日、7月6日は ピアニストであり指揮者のウラディーミル・アシュケナージの80歳のお誕生日です。

      おめでとうございます!!

      (1937年7月6日 旧ソビエト連邦のゴーリキーの生まれ)

       

      6歳でピアノを始めたウラディーミルはたちまちのうちに上達し、初見演奏もすぐにできるようになり、9歳でモスクワ音楽院付属中央音楽学校に入学したそう。

      父親は軽音楽のピアニストでしたが 息子ウラディーミルの音楽の才能には最初は気がつかず。(仕事柄、家をあけることが多かった)

      1955年のショパン国際ピアノコンクールに出場して2位。 のちにこの時に1位をとっていなくてよかった、という人もいたらしい。というのは 当時のソ連のこと、ピアニストの国際コンクール出場はソ連という国の威厳をかけての参加で ショパンコンクールに優勝していたら 翌年のエリザベート王妃国際音楽コンクールでは相当なプレッシャーに悩まされたであろう、と。

      (アシュケナージは1956年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝している)

      1962年には チャイコフスキー国際コンクールで ジョン・オグドンと優勝を分けています。

       

      私がアシュケナージの演奏を初めて聞いたのは ライブ録音だったのですが

      ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンとともに来日して ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」「クロイツェル」などを演奏した時のものです。

      この時の「春」の演奏、ピアノの音がとてもみずみずしく、透明で 「これほど綺麗な音を出すピアニストがいるのか!!」と驚きました。

      それ以来、アシュケナージが来日し、地元(当時は広島に住んでいたので)でリサイタルがあると なんとかチケットを入手して聴きに行ったものです。

       

      社会人になってからは CDもかなり購入しましたが その中で とくに素晴らしい、と思うのは

      モーツァルトの「ピアノ協奏曲全集」

      アシュケナージの弾き振りで 彼の非常に美しく軽やかな音が モーツァルトの曲の魅力を一層引き立てています。

       

      ラフマニノフ「ピアノ協奏曲全集」

      アシュケナージの手はあまり大きくないので ラフマニノフは最初は控えていたそうですが ロシアのロマンティシズム溢れるこの曲の解釈は素晴らしいです。

      ラフマニノフもアシュケナージ同様、ソ連から亡命した音楽家ですね。

       

      アシュケナージの演奏は模範的、と言われますが やはりベートーヴェンのソナタは ピアノを弾く上でもとても勉強になる演奏です。

       

      そして・・

      何と言っても 80歳という歳で コンサートでの聴衆を前にした演奏はしなくなったというものの、録音をしてCDを出している、という事は素晴らしいです。

      30年くらい前のインタビューでは
      「バッハを大尊敬している。バッハの曲はどれも素晴らしく、私にはまだまだだと感じるのでコンサートでの演奏や録音しない」(といったような内容)と答えているのですが 2010年にパルティータ、そして今回、2017年にはフランス組曲を録音しています。
      バッハに対して真剣に取り組んでいた成果、でしょうか。
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      2017.06.25 Sunday

      ツィメルマンのCD〜久しぶりのソロアルバムとショパンの協奏曲

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        毎日のように仕事や買い物などで車に乗っているので 

        (田舎暮らし・・)

        車の運転中は 大好きなCDをUSBメモリーにコピーして その中の曲をランダムに聴いています。

         

        今日は ポーランドのピアニスト、クリスティアン・ツィメルマンの 

        ショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調op。11」

         

         こちらのCDです。

         

        1956年生まれのツィメルマンが18歳の時(1975年)にショパンコンクールに優勝し、1978年には 指揮者・1回目のショパンのピアノ協奏曲のレコーディングをしています。が、 その時点で既に いつか自ら指揮しながら この協奏曲を演奏したい、と考え、

        1999年のショパンの没後150年に向けて 指揮・ピアノ演奏したCDです。

        オーケストラは 「時間に追われたくないから」という理由で このショパンのピアノ協奏曲の演奏のために ツィメルマン自身が応募者から50人ほどの演奏家を選び作ったオーケストラで「ポーランド祝祭管弦楽団」と名付けらました。

        やはりポーランド人が多く(ショパンをわかっている、という理由で)25歳から35歳の若い音楽家が集まったそうです。

         

        ツィメルマンが弾き振りをすることに関しては とくに指揮法の勉強はしていないが 指揮者、バーンスタインとベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲の録音が進行中に 1番と2番の録音が未収録なまま バーンスタインが亡くなり、この2曲を弾き振りしながら

        「ここはオーケストラだけで演奏可能、ここは指揮がないと無理」など把握し、今回のショパンの弾き振りの決断にもなったそう。

         

        CDの演奏には 少し「指揮者が別にいれば・・」と思わせるところもありましたが、あるいはその解釈はツィメルマンの意図かもしれません。

        ショパンのオーケストレーションには問題がある、というのは有名ですが 今回のオーケストラの演奏を聴くと

        確かに金管楽器がオーケストラの中で変に浮いて聞こえます。

         

        私がこのCDを買ったのは 発売されてすぐで、ちょうどデュッセルドルフでツィメルマンのリサイタルがあり、そのリサイタル会場で コンサート終了後にサイン会をする、ということもあって たまたま、売られている中では良さそうだったから買った、だけだったのですが 

        ツィメルマンがショパンの協奏曲に丁寧し取り組んだ演奏として なかなか興味深いCDです。

        (ちなみに、その時のリサイタルはブラームスで これがとても良い ブラームスらしい演奏でした)

         

        しかし・・

        久しぶりにショパンのピアノ協奏曲を聞きましたが、とてもロマンチックで 

        ああ、こんな綺麗なメロディ、今の若者にだって 気に入ってもらえるのではないの?  と 思わずにはいられませんでしたが・・

         

         

         

        ショパンコンクールに優勝して 初来日した時のツィメルマンは 若くて 今でいうなら「イケメン」で

        若い女性が彼のリサイタルに押し寄せたものですが

        そんなツィメルマンも去年、2016年12月に60歳に。

         

        そして、この秋に23年ぶりにソロのアルバムを出すそうですね。

        シューベルト「ピアノソナタ第20番・21番」です。 どんな演奏をしているのが 聞いてみたいものです!

         

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        2017.05.27 Saturday

        べートーヴェン 交響曲第1番ハ長調作品21

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          只今まだ5月ですが

          なぜか・・・この頃 私の周りでは ベートーヴェンの交響曲第9番のことが話題になったり

          コンサートがあったり しています。

          年末ではないけどね・・・

           

          ベートーヴェンの交響曲は 9個の全部の交響曲がどれも個性的で素晴らしいと思い、

          一度、すべての交響曲について 少しだけ勉強させてもらいましたが

          久しぶりに ベートーヴェンのシンフォニーについて 復習します!

           

          なので

          今日は ベートーヴェンの交響曲第1番ハ長調作品21 についてです。

           

          1770年12月生まれのベートーヴェンが 最初のシンフォニーを発表したのは1800年。

          なんと30歳目前にして やっと最初の交響曲をお披露目しています。

          (作曲されたのは1799年から1800年にかけて と言われています)

          同年、1880年にはピアノソナタ第8番「悲愴」を発表しているくらい ピアノソナタはすでに10曲近く作曲しているのにもかかわらず 交響曲は第1番。

          交響曲は それまでのベートーヴェンの作曲の勉強の成果を表した曲、とも言えそうです。

           

          2管編成の(木管がそれぞれ2本づつ、という意味です)当時としては古典的な標準的な大きさの交響曲、

          構成も4楽章。

          第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio

          第2楽章 Andante cantabile con moto

          第3楽章 Menuetto

          第4楽章 Adagio - Allegro molto e vivace

           

          現代っぽい演奏では パーヴォ・ヤルヴィの指揮のものがお気に入り。

          このテンポは馴染めない、という方もいらっしゃるかと思いますが・・

          カラヤンのベートーヴェンは「いかにも・・・」という香りがただよってきて、最近は聞かなくなりました。

          全く個人的感想・・・

           

          この曲の最大の特徴は 何と言っても

          第1楽章の最初の和音  でしょう。

          この曲の解説にこの和音のことに触れていないものはほとんどない のではないかな?

           

          普通、少なくともこの当時は 曲は主和音(この交響曲はハ長調なので ハ長調の和音。C,E,G)で始まる、というのに

          この交響曲第1番は 

           

          「下属調の属七の和音」が いきなり フォルテで鳴る! (フォルテピアノなので すぐに音量は衰退する、としても)

          初めて聞いた その当時の人々が

          「ええ!?????」と頭の中が真っ白になったのではないか?と(大げさだけど)想像できます。

           

          「下属調」というのは この場合、ハ長調より5度下の調。なのでへ長調。

          「属7の和音」は この場合、へ長調の5度上(ハ長調)の和音(C,E,G)にCから7つ目の音をつけたもの(短7度)

          ということは C,E,G,B.   (ドイツ音名なのでシのフラット)

           

          余談ですが 属7の和音、7度(2度)の音程を伴う和音なので 濁ります。

          ドイツ人にピアノを教えていると この属7の和音で

          「きゃ〜〜〜嫌だ!! 汚い響!!」と拒否される(?)ことも結構あります。

           

          なのに、聴衆にいきなりこの属7の和音を聞かせたのか・・すごいなベートーヴェン!

           

          このシンフォニーの特徴はもう一つ。

          それは第3楽章のメヌエット。

           

          メヌエットは フランスのベルサイユ宮殿を思い出せばわかりやすい、あのドレス姿で踊ったダンスです。

          なので 優雅で上品で ゆっくり。

          当時、モーツァルトやハイドンの古典時代の交響曲は第3楽章はメヌエット というのが常識でした。

          なので ベートーヴェンも第3楽章には 「メヌエット」と書き込んだのでしょうが

          この1番の交響曲の第3楽章は はやい!!!

          (絶対にあのドレスでは踊れない!!)

           

          ベートーヴェンは次の交響曲第2番では 第3楽章に「スケルツォ」と書いています。

          この第1番の交響曲の3楽章も 実際のところは「スケルツォ」ですね。

          (交響曲の形を確立したハイドンやモーツァルトに敬意を示して 「メヌエット」と書くだけは書いたのかな??)

           

          ベートーヴェンの交響曲について書いてある本では これがオススメ。

          堅苦しくなくて読みやすく、内容もよく、何度も読み返しています。

           

           

          2017.05.09 Tuesday

          シューベルト 交響曲第5番変ロ長調D485

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            今日は歌曲を多く書いた作曲家として有名な 

            フランツ・シューベルト(Franz Schubert)の交響曲第5番変ロ長調D485を。。

             

            シューベルトの交響曲といえば 一番有名なのは「未完成」でしょう。

            以前は第8番でしたが 最近は第7番ということになっていますが 

            どうも番号が変わると混乱してしまいます!

            こういう時は交響曲にタイトルがあって助かります! 8番と書いてあっても「未完成」とあれば 未完成。

            以前は9番と言われていた(そのさらに前は7番と言われていた)「ザ・グレート」は現在は8番ということになっています。

            ・・もう、番号はあてにならない・・・・

             

             

            で、今日の交響曲第5番ですが

            シューベルトが兵役を避けるためについた教師という仕事を辞めて 作曲に没頭し始めた

            1816年、彼が19歳の時の作品です。

            この交響曲は クラリネット、トランペット、トロンボーン、ティンパニが使われておらず、古典派のモーツァルトの交響曲を思い出すような編成、曲の構成も古典派の作風ですが 

            そこは さすがのメロディメーカーのシューベルト。

            この曲のメロディも非常に美しく、聞いているとはやり「これは古典派ではないな」と感じます。

             

            オットー・ハトヴィッヒ(Otto Hatwig)の率いる 私設オーケストラのために書かれた、と言われています。

            シューベルトの交響曲の中では一番短い作品ですが 何度も聴きたくなってしまいます!

             

            第1楽章:アレグロ(Allegro)

            それまでの4つの交響曲とは違って 最初にゆっくりした導入部がありません。

            4小節の木管楽器のカデンツ(和音進行)に続いて示されるテーマが 明るくて綺麗。

            ある批評家が「ウィーンの道端で聞く音楽を思い出させる」と言ったとか。

             

            この第1楽章ですでに美しい曲を書いているシューベルト。

            緩徐楽章である第2楽章を前にすでにここでたっぷりと「歌っている」曲です。

             

            第2楽章:アンダンテ・コン・モート(Andante con moto)

            このメロディの美しさ!! シューベルトならではです。

             

            第3楽章:メヌエット、アレグロ・モルトートリオ (Menuetto. Allegro molto - Trio)

            この交響曲は変ロ長調ですが このメヌエットはト短調で書かれていて 雰囲気もモーツァルトの40番(ト短調)を思い出させます。

            トリオはト長調。これまた美しい!

             

            後述のアーノンクールの解説によると

            このメヌエットはオーストリアのメヌエットと呼ばれるダンス。

            (本来、メヌエットは優雅であるが、オーストリアのダンスは結構野蛮な感じであるものもメヌエットと呼ばれる)

            そして、この悲しさは「希望を持った悲しさ」

            トリオはレンドラー(踊りの一種)だが、田舎のレンドラーではなく、町角(町の周辺部)のレンドラー。

             

            第4楽章:アレグロ ヴィヴァーチェ(Allegro vivace)

            思わず踊りだしたくなるような主題。

            音楽学者のアルフレッド・アインシュタインは「ハイドンそのものだ!」と言ったそう。

             

             

            シューベルトのシンフォニーというと 

            前述の「未完成」が有名で 確かに未完成のメロディも美しいですが

            このこじんまりとした5番も 負けず劣らず 素晴らしい交響曲です。

             

             

            =====お気に入りCD=====

             

            カール・ベームとウィーン・フィルという組み合わせ。

            モーツァルトやシューベルトのシンフォニーはカール・ベームの演奏は自然で実に気持ち良い。

             

            ニコラウス・アーノンクールとロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団。

            現代的な演奏ならこれ。

             

             

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